野川には、年中、コサギとダイサギ、そしてゴイサギがいます。毎日お魚を捕ってくらしています。
冬になり、部屋の窓外を見ると、真っ白なコサギやダイサギが、カモメと一緒に飛んでいきます。
海からやってくるカモメ達が白いからでしょうか?
そして、橋の下あたりで集会を開いています。うちでは、「白い鳥の会」と呼んでいます。
白い鳥の会はにぎやかです。あの性格の悪いカモメたちだけでもうるさいのに、普段は静かな
サギ達までもが大騒ぎです。
中でも体の大きなダイサギは、ここぞとばかりにリーダーシップを発揮しようとしているかのように、
バタバタと羽ばたき、「グワアー」と鳴きます。
そんなにぎやかな白い鳥の会を微笑みながら見るのは、不思議と飽きないものです。
そんなとき、ふと成城の崖の上の林を見ると、大きな鳥がいます。アオサギです。
アオサギは、鷺の中でももっとも大型の鳥です。全長は93cm、羽根を広げると150cm以上もあるそうです。
日本では留鳥ですが、世田谷の野川周辺には、冬になると現れます。
きっと、もうちょっと北からやってくるのでしょう。
サギ類は、孤高で美しい鳥です。人間には決して慣れようとはしません。中でもアオサギはとても注意深く、
ちょっとでも物音がすると飛んでいってしまいます。
何年か前、野川に舞い降りたアオサギを発見し、急いで三脚とカメラとレンズをセットして、そっと近寄りました。
しかし、私をあざ笑うかのように、三脚を置いた瞬間に、アオサギは移動してしまいます。
数十分、アオサギは私と鬼ごっこをしてくれました。私はかくれんぼをしていたつもりだったのですが...。
そして、最後にアオサギは私の真上を飛んでいきました。その大きな音と影だけしか私には分かりませんでした。
側にいた人は、アオサギの毛並みまで見えたと言い、私を悔しがらせました。
誇り高い鷺類の中でも、もっとも大きく、もっとも注意深いアオサギ。私はそれ以来、アオサギ様と呼ぶことにしました。
この冬は、成城の崖の上にある松の木に、毎朝アオサギがきてとまっていました。
そして、夕方の4時過ぎまで、ぼーっと日なたぼっこをしながら昼寝を楽しんでいるのです。
ひがな一日、ぼーっとしているのです。寒い日や風の強い日は、いないこともあります。
そう、チャンスです。今度こそ撮ってやろう。そう思いました。しかし、毎日ぼーっとしている
アオサギを見ては、「まあ、あしたでもいいか」と私も思ってしまうのでした。
そうこうしているうちに、ちょっと温かくなってきました。また、アオサギは北に帰るかもしれません。
意を決して、2月のある日の夕方、4時ちょっと前なのを確認した私は、カメラと三脚を持って
松の木の方に歩いていきました。
撮影データ: Nikon F4 + Tokinar 500mm F5.6 + 2x TeleConverter, FUJI SuperG Ace ISO800
それからまもなく、アオサギは松の木に来なくなってしまいました。
きっと、北に帰ったのでしょう。
そして、カモ達も北へ帰っていきます。
野川が一番にぎやかな冬も、もう終わりです。鳥達がいなくなって、春はちょっとさびしい季節です。
でも、もうすぐ渡りのシギやチドリがきます。カルガモもたくさんの子どもを連れて、行列をするはずです。
野川は世田谷にありながら、水鳥達のちょっとした楽園なのです。