ホントはあまり好きじゃなかった....クルマ
生涯一バイク乗りを自称する私にとって、クルマは天敵だった。
女のコを誘ったときにも、「バイクよりクルマの方がイイ」なんて言われたりして、「くそー、クルマなんか嫌いだあ」と思ったバイク乗りも多いに違いない。
いや、そういう話ばかりじゃない。
バイク乗りの方ならおわかりになると思うが、クルマはでかくてトロくて運転しているヤツにもロクなのはいない。特に、メルセデスだのBMWだのに乗っているヤツはサイテーなヤツが多い。町中を走っていても、この手の左ハンドル車は妙に路肩に近い位置を走り、止まるので、スリ抜けがやりにくい。また、まわりをよく見ず、自分勝手な運転をするヤツが多い。
本人はそういう意思がないのかもしれないが、周りを見ないで走るのは犯罪である。見ていてやるのなら、殺人未遂だ。バイクはクルマに比較すると、無力である。何度かそういうクルマに幅寄せされて、死にそうになった。その先の信号でドアを開けて胸ぐらを締め上げてやさしく諭してやったり、オフロードのゴツいブーツでやさしくドアやミラーを蹴飛ばしてやった経験があるバイク乗りは少なくないだろう。知り合いは、オフロードのバイクでポルシェの上を走ってやったそうだ。
何年か前、富士山周辺の林道にクルマやバイクの乗り入れを禁止することになったとき、私はコンペ仕様のトライアルバイクTLM220R、つまりさっぱり速度の出ないバイクで、最後の自然破壊をしに富士山に向かった。最高速は65km/h、がんばって回しても70km/hしか出ないバイクだが、さすがに下道を使っていくには辛すぎるので、中央高速で山中湖に向かった。いつもなら、「目に見えるモノすべてぶっちぎってきたゼ」などとうそぶく私だが、こういう遅いバイクでは、「目に見えるものにすべてぶっちぎられちゃったゼ」というコトになる。
こんなときに、バイクのスグ横を凄い速度で走っていくのは、決まってメルセデスかBMWである。他のクルマでドライバーでそんなことをするヒトはほとんどいない。しかし、高速道路には信号もないので、やさしく諭すことも、やさしく蹴飛ばすことも、ましてや上を走ることもできないので、本当に怖くて辛かった。思わず、エンジンが悲鳴を上げるまで回し続けて、ついには軽くエンジンブローまでさせてしまった。
もちろん、メルセデスやBMWに乗っているヤツはみんなサイテーという気はないが、そういう人の比率がダントツで多いことは身に染みて感じている。
そうじゃないクルマでも、困り者は多い。回りを見ていない。ミラーを見ていない。それでいて、突然に車線変更や停車をする輩の多いこと。狭い路地ですれ違えない、無理に入ってくる、高速道路で追い越し車線をゆっくり走り続ける、そんな困ったちゃんも多い。さらに言えば、峠をドリフトして走るクルマ。車線くらい守れと言いたい。こっちはバイクなんだ。ぶつかったらシャレじゃ済まないんだ。
クルマ文化のバイクへの不当な差別も、枚挙にいとまがない。あるとき、私はRX-7に興味を持った。例によって汚いバイク乗りの格好で愛機NSR250Rでマツダの販売店に行ってカタログをもらい、納期や割引などを聞こうとしたのだが、カタログをくれたのみで、まったく相手にされなかったのである。ところが、後日、ボロのファミリアで行ったところ、あっと言う間に話がまとまったのだ。まったくどういうことなのか...やはりクルマ屋もバイク乗りを馬鹿にしているのだろうと感じた。
まあ、逆もまた真なりで、ポルシェでバイク屋に乗りつけて、当時発売された高価なRC30というレーサーレプリカを買いに来た人を、バイク屋にいた連中が目茶苦茶にけなしたなどという話も、私には納得できることだった。要するに、バイク乗りはクルマが嫌いなのである。いや、いろいろな経験から、嫌いにならざるを得ないというのが正解だろう。
あっ、カッコイイと思ったらRX-7だった
そんなクルマ嫌いの私だったが、スポーツカーは好きだった。特に大好きだったのは、マツダのRX-7(FC-3S)だった。FC-3Sがマイナーチェンジし、205psになったとき、その思いは頂点に達した。毎日のようにカタログを穴が開くほど見続けた。
それまで、私は、おじさんから借りたジープをはじめとして、友人から安く手に入れたKP-61スターレットやファミリアXG
Sportsなどに乗っていたが、これはあくまでも雨のときの移動手段であり、トロいこれらのクルマはあまり好きではなかった。
しかし、RX-7なら、スポーツカーだし、もっとスピーディーに走れるだろうと思った。
そして、銀行残高をゼロにし、3年ローンの重荷と引き換えに、ついに真っ赤なRX-7
GT-Xを新車で手に入れた。消費税が導入されて少しクルマが買いやすくなった平成元年ではあったが、コミコミ300万円は、当時の貧乏な私にとっては冒険だった。
納車されたピカピカの真っ赤なRX-7は、外観もとても美しく、コックピットは適度にタイトで、エキサイティングだった。フロントバンパーと一体化された低いノーズ、そこから光るフォグランプ、傾いたフロントガラス、リアの曲面ガラス。ポルシェ944のマネという人もいるが、はっきり言って944よりRX-7の方がはるかにカッコイイ。そして、走行性能。ファミリアとは比較にならないほどクルリときれいにコーナリングするクルマだった。しかし、慣れてくると、やはりトロい。確かに、絶対的な速度であれば、たいていの場面でRX-7はNSRより速いに違いない。しかし、操作性が悪いのである。
これは、RX-7がどうこうではなく、クルマの操作性が悪いのだ。バイクは、アクセル、ブレーキ、クラッチ、シフト、ウィンカー、ライトといった操作が、ホームポジションを離れずに行うことができる。しかも、シフトはシーケンシャルである。ところが、クルマときたら、シフトするときにはハンドルから片手を離さないといけないし、ブレーキとアクセルは同じ右足だ。クラッチは左足専任なものの、足で微妙なクラッチ、アクセル、ブレーキを操作するというのは、どうもイマイチである。さらに、シフトはH型でRX-7と言えどもストロークはそれなりにあるから、スピーディーにはいかない。やはり、バイクの方が、運転する上ではスマートなのである。つまり、こういう操作系を持っている以上、クルマはバイクのようなスポーツ性を持てないと感じたのである。
あるとき、友人のアンフィニ仕様のFC-3Sで峠を走ってみて驚いた。私のノーマル仕様とはまったく違い、エンジンはパワフルだし、足回りは固めてあって、コーナリング中にも不安はまったくない。このクルマは、雨上がりの伊豆スカイラインを、考えられないような速度で駆け抜けたのだ。それ以来、私は自分のRX-7をスポーツカーだと思わなくなった。
もちろん、足回りを固め、エンジンやらをチューンするということもできるだろう。だが、アンフィニ仕様のRX-7は、とてもじゃないが足が固すぎて町中を走れない。結局のところ、私はステアリングやシート、エアクリーナーくらいしかいじらないことした。
そんなわけで、なんとも不満足な気持ちでRX-7に乗り続けたものの、だからと言って欲しいと思うような別のクルマもなかった。スポーツカーながら、それなりに荷物も積めた。なんと、17インチモニターを箱のまま積むことすらできたのである。しかし、何と言っても、RX-7のスタイリングに惚れていたのだ。ジャーナリストながらレーサーであったポールフレール先生によると、「もっと流れるようなスタイリングが欲しい」というRX-7だったが、その意向を受けて(?)できた新型FD-3Sはどうにも好きになれなかった(最近はなぜだかとても好きになった)。
今でも、街でFCを見かけると「あっ、カッコイイ。と思ったらRX-7だった。」と思うのであった。
峠を走るためだけのクルマ
こうして、なんと9年半もの間、私は大好きなFC-3Sと共に過ごしてきた。
しかし、ある日突然、とても欲しいクルマが出てきたのだ。それは、Lotus
Eliseだった。
ローバーのなんてこともない118psの1.8Lツインカムエンジン。しかし、それはバスタブのような形のアルミシャーシにミッドシップに積ま、その上にかぶせられた、滑らかな曲面を組み合わせたボディカウルは艶めかしい。そして、猫足と形容されるようによく動くサスペンション。2座のコックピットには、エアコンはなく、メーターも最低限、幌も現代の水準から言うとあまりにもいいかげんなものしか付いていない。まさに、ブリティッシュスポーツカーである。
Lotusの始祖であるコーリン・チャップマンが蘇って作ったような、小さくて魅力的なクルマである。そもそも、スポーツカーとは、レースに出場するようなカッコイイクルマを、ごくふつうの市販車のパーツを使って、裏庭で作ったイギリス好き者達、すなわちバックヤードビルダーが作ったものを言う(らしい)。したがって、Eliseはまさにスポーツカーなのである。
このクルマをオープンにして、箱根を走ったら、とても気持ちいいに違いない。そう、ターンパイクを上り、芦ノ湖スカイラインから伊豆スカイラインを回り、さらに西伊豆スカイライン、マーガレットラインを駆け抜け、石廊崎で夕日を見て、新鮮な刺身を満載した磯定食を食って帰る。バイクではよく走ったコースだ。Eliseとともに、こんな一日を過ごしてみたい。
しかし、そういった用途以外にはまったく使い道のなさそうなこのクルマは、まさに4輪ながらオートバイと同じ、またはそれ以下のモノである。その割りには、価格は500万円(当時)もする。いくらなんでも不経済である。しかし、Eliseへの思いは募った。
欲しいクルマの条件
それと同時に、今まであまり興味のなかったクルマについての本を買い漁り、いろいろなクルマに試乗もしてみるようになった。そして、結局のところ、私は、次のような結論に達した。
「絶対速度は重要でない。走っていて気持ちがよいクルマがよい。気持ちのよい条件とは、オープンであること、エンジンの音がよいこと、そしてやはりスタイリングがよいことである。」
そうなのだ。オープンカーが欲しいのである。それもできればなるべくプリミティブなライトウェイトのスポーツカーで気持ちよく走りたい。思えば、中学生のとき、だいぶ年上の知り合いが、トライアンフのオープンカー(おそらくTR4)に乗っており、こいつがとてつもなく気持ちよかった。初夏の八幡平をドライブしているうち、あまりの気持ちよさに私はつい眠ってしまったほどだ。免許を取ってからは、叔父さんのジープをしばらく乗っていたこともあったが、これも気持ちよかった。ただ、やはり気分はスポーツカーの方がよさそうだ。幸いにして、MX-3
Miata(ユーノスロードスター)のヒット以来、今や世界的にオープンのスポーツカーの選択肢は少なくない。
しかし、エンジンとなると、これは難しい。個人的には、国産ならホンダ、外車ならアルファロメオかフェラーリにとどめを刺すと思った。といっても、ホンモノのフェラーリの音なんか聞いたことはなく、もっぱら本による知識ではある。友人が乗っているCIVIC
Si-Rのエンジンは、実にレーシーな音がして、最高に気分がよい。RX-7のロータリーエンジンは排気音はともかく、エンジン音がしないのだ。ただモーターのようにスムーズにレブリミットまで回っていく。レッドゾーンになってもそのまま回り続けてしまうので、「ブーッ」とブザーが鳴るのである。こいつはいただけない。実際には速度なんて出ていなくていいから、気分よく走れればよいのである。これは、一度マイル表示のメーターに変えたときに気づいた。静かなRX-7では、絶対速度を知るには、速度感よりメーターが重要なのである。あるとき、「xx」を指していたが、xxkm/hにしてはなんだかちょっと速すぎるような気がした。よく考えたら、マイル表示だから1.6倍だったのだ。つまり、逆に速度計が低めを指していれば、それはそれで満足できてしまうのである。そもそも、私は絶対的な速度などより、峠をヒラヒラと走る方が好きなのである。むしろ、直線になると、前のクルマに追いつかないように速度を落としてしまう方だ。
そんなわけで、一言で言うと、「気持ちよいクルマ」が欲しいのである。逆に言えば、それはおそらく役に立たないクルマ、反社会的なクルマなのだろう。
まずは社会的なクルマを
反社会的なクルマ、すなわち2シーターで、EliseやSuper7のようにエアコンすらついていないオープンカーを買ってしまうと、他にちゃんと日常生活に役立つクルマも必要になる。そこで、まずは日常生活に役立つクルマ、つまり家族や親、親戚などからも非難を浴びないような、社会的な4ドアのクルマを買い、それから放蕩クルマを買おうと考えた。とはいえ、ここで安くなった中古のメルセデスなんかを買ってもつまらないし、何と言ってもバイク乗りの私にとってメルセデスは敵だ(笑)。
そこで、エンジンでは定評のあるアルファロメオの新型である156 2.5L V6にしようと考えた。アルファロメオと言えば、一般にはいわゆるシブいエンスーグルマとして通っている。もちろん、そこはイタ車だから、マセラティには負けるにしても、とにかくよく壊れるので有名であった。なにせ、クルマのコトなんかトンと興味のなかった友人までが、アルファは壊れると言っていたくらいだ。ところが、ここ数年でイタ車も品質がグっと向上し、156は作りもドイツ車並みになってきたというし、壊れなくなったと評判である。それでも、マセラティは相変わらず壊れまくるようだが、3200GT以降のフェラーリ資本になってからのクルマはよくなっているらしい。
そこで、もっとも身近な家族であった前妻を連れて、アルファロメオのディーラーに行ってみることにした。
重要なサポーター
実は、私の前妻はかなり珍しい人である。前妻は、ピアニストだ。なんと、東京芸術大学器楽科ピアノ専攻を首席で卒業している。もちろん、その手のコンクールでも上位入賞した実績がある。とはいえ、決していわゆる成金趣味なお嬢様育ちというわけでもなく、私が言うのもおかしいが、実にしっかりとした本当のレディである。何をどう間違って私のような下賤の者と結婚するハメになったのか、今となっては不明だが、とにかくそういうことになっていた。まあ、いろいろあって今は別れてしまったが...
前妻は芸術家である。何もないところから作曲者の意図したような音を出す再生芸術を生業としている。したがって、回りの環境が大切だという。結婚したときにも、カーテンや家具など、それまでの私の感覚からするととんでもない高価なものを選んだので、驚いてしまった。しかし、それが彼女の作り出す音に結びつくというのである。
そんな前妻とある日テレビを見ていたら、ランボルギーニのディアブロが出てきた。ちょっとの間を置いて、前妻は「良い音」と言った。これには驚いた。ピアニストのような耳の肥えた人が、いわゆるスーパーカーの爆音を「良い音」だと言うのである。そんなことがあってから、クルマ選びにも「良い音」を聞き分けることができる前妻の意見は重要になった。
前妻は、こういう買い物については実に物分かりがよく、好きなものを買ったらよいという。彼女が好きなのはジャガーのようなスマートなクルマであるが、私にはそういう趣味も金もない。となれば、お好きにしたらということらしい。実際、ピアニストである彼女が今まで送り迎えなどで乗っていたクルマと、RX-7はギャップがありすぎた。「まさか真っ赤なスポーツカーに乗っているような人と結婚するとは思わなかった」とか「このクルマは乗り心地が悪い」と言われたのは、RX-7を愛する私にとっては、結構ショックだった。そんなわけで、クルマを選ぶに当たって、少なくとも、乗り心地や質感、音といったものについて私より敏感な前妻の意見は、私にとっても参考になったのである。
ALFA 156 V6 2.5Lのハズが...
実は、ALFAのディーラーに行くのは2度目である。環八を走っていて、アレーゼ田園調布(チェッカーモータース)を発見したのである。156は大量に置いてある。若い営業氏に聞くと、156V6の今年(1998年)輸入分は終了したという。TSならあるらしい。
ALFA V6エンジンで6MTで内装も革でカッコイイV6にしたかったので、たいして価格差のないTSは安っぽいものに思え、最初から眼中になかった。
「もう、あきらめよう。FCのままでいいじゃないか。それならお金もかからないし。」
そう思って、あきらめてから、数ヶ月後、1998年11月になって、突然に電話や手紙攻撃が来たのである。それによると、
「すごーく安くなっているので、ぜひ来てください」
ということであった。と言われても、外車なんてモノを買ったことがない私には、安くなったといっても20万円とかそんなもんだろうと思っていた。したがって、あまり行く気はなかったのだが、考えているうちに、これはやはりチャンスだから買うしかないと思うようになってきた。そこで、そのセールの最終日、とりあえず現金をかき集めて、前妻を誘ってディーラーに出撃したのであった。
ところが、いざアルファロメオのディーラーについて、前妻の意見を聞いてみると、アクの強い156のデザインを彼女はどうしても好きになれないという。実際にクルマの中に乗ってみても、RX-7のタイトなコックピットに慣れていたせいで間延びしていると感じたのか、あるいは質感が安っぽいせいか、カッコワルイという。確かに私もそう思った。だが、私はセダンを買うということは、そういうコトなのだろうと考えていたので、あまり気にはならなかった。
156 V6の価格は48万円引きと予想外に安くなっている。他のクルマはどれくらい安くなっているのか見回してみた。すると、店の奥にプロテオレッドのGTVがあった。価格と一緒に見た仕様には、「右ハンドル
6速MT」とあるではないか。これは156と同じだ。 しかも、ALFA 3.0 V6である。このクルマは「間違いだらけの外車選び」で徳大寺氏がエンジンを絶賛していたクルマだ。FFでスポーツカーなんてありなのかとも思ったが、ポルシェ911はいらないとさえ書いてあり、これに6速ミッションが乗れば...というのを朝に読んできたばかりだった。
「ほお、6速になったんだ」
と私が見ていると、前妻はGTVに駆け寄り、
「これがいい」
と言った。
そして、クルマに乗ったまま降りてこなくなってしまったのである。
このクルマはピニンファリーナとアルファロメオのセントロスティーレの手によるデザインで、「スピードを形にしました」というようななんとも前衛的なカタチをしている。ウェッジシェイプなんて生易しい形容ではなく、尻上がりでグラマラスと言った方がよいだろう。シートはいわゆる2+2で、後ろ座席はRX-7よりはずっとマシだが長時間乗れる感じではない。ラゲッジスペースも狭い。エンジンは3LのV6
DOHCで220psである。FFというところがイマイチ気に入らないが、156だってFFだ。実は、私もこのクルマは気になっていた。しかし、右ハンドルで6速のGTVが出ていたのは、このとき初めて知ったので、かなりワクワクしたことも事実だ。
しかし、こういったスポーツカー的なものを探しにきたわけではないし、それだったら他にも選択肢があると思っていたのだった。だが、前妻も気に入ったとなれば、これでいいんじゃないだろうか。いろいろ考えた結果、何も考えないことにしてGTVを買ってしまった。というわけで、GTVの話は別のページで詳しく書くことにする。
FCは翌日にはガリバーに50万円で引き取られ、12/1にGTVが納車された。
しかし、FCは安すぎた気がする。この値段なら私が買いたいくらいだ。長年連れ添ったFCとは、心がけてクールに別れた。そうじゃないと、涙が出そうな気がしたのだ。ヤツも9年も乗って38000kmしか走らないようなオーナーより、もっとポテンシャルを出して
ガンガン走ってくれる若いオーナーの方がよいだろう。
とはいえ、FCと別れたまさにその深夜、たまたまつけたTVで「イニシャルD」を放映していた。スイッチを点けた瞬間に、あの懐かしいFCのエンジンのスターター音がした。私にはスグにそれがFCのそれだと分かり、こらえていた涙が出てきた。
その後、前妻がRoadsterが欲しいなどと言い出し、試乗したついでに、セールスマン氏のFDに乗る機会があった。FDの操作感は、まさにFCと同じ。それでいて低速からトルクがある。スナッチもおきない。パワーは恐ろしいほどある。素晴らしいクルマだ。
でも、もうよいのだ。速いだけのクルマとは決別するのだ。
ああ、S2000予約し損ねる
GTVは思い切ったクルマとはならなかったが、FCと同じようにある程度実用性があり、音がよくて気分がよいALFA
GTV 1台で済むのはよいことのようにも思えた。
と思ったのも束の間、、やっぱり次は、いよいよ放蕩グルマを買う番である。ところが、なんと衝突安全性の問題から、EliseやSuper7などのライトウェイトスポーツは、1999年4月から新車登録ができなくなってしまった。厳密には3月以前に生産されたものは大丈夫らしい(その後OKになった)。こうなれば、一刻の猶予もならない。スグにでも放蕩グルマを買う必要がある。
Eliseにするか、Super7にするか、Ginettaにするか、はたまたトミーカイラにするか、と悩むところだ。
実は一年ほど前にGinetta G4とEliseに試乗した。そのときには、デザインといい、エンジン音といい、フィールといい、あまりにもワイルドだが、明らかにリアのトラクションが不足するGinettaに、私は血色を失った。なにせ、登りの坂道でホイールスピンしてしまうのである。また、セールストークがうますぎた。どこも壊れないなんていう話は信用できなかった。その直後に乗ったEliseはエンジン音といい、挙動といいあまりにもマトモすぎて魅力を感じなくなるほどだった。かといってGinettaはヤバすぎる気がした。結局、そのときには両方とも買わないことにしてしまったのだった。
中古だが、TVR Griffith 5.0 HCに試乗することができた。エンジンは高回転までは回らないが、トルクの化け物という感じだ。作りはよいようなチャチなような、不思議なバランスだ。しかし、このクルマはオーナーがワンオフでホイールまで作って太くしたタイヤがギャップを拾ったときにフェンダーの内側に接触したり、室内保管されていたという割りには錆びが出ていたり、何より値上がりしたTVRの価格に合わせて強気な金額になっていたのが気に入らなかった。いくら何でも、自分が買った価格より高く売らないでしょ。結局、このクルマもやめた。
こんなことをしているうちに、一年が過ぎた。 あれから一年、やはりEliseはとってもいいような気がする。しかし、あれからいろいろなクルマが出ている。PorscheのBoxterもイイ。しかし、ホンダのS2000はもっとイイ。
NSXを除くと永いことFFしか作っていないあのホンダが、FRを作ったのだ。実にS800以来の快挙である。しかもオープンで、しかも2000cc
250psというリッター125psものハイチューンなVTECエンジンを積んで、しかも6秒で開閉可能という電動幌付きで、しかもエアコンまで積んでいて、しかも、たったの328万円だ。EliseよりもGinettaよりも、もちろんBoxterよりも安いではないか。ああ、なんだかよくわかんないほど魅力的だ。問題はイタ車を見慣れた身としては、カッコがイマイチというところなのだが、オープンであのVTECサウンドを満喫しながらリアにトラクションかけながら走れるなんて、もう夢のようである。それだけでも充分だ。
これはもう、S2000しかないでショ。そう思った私は、1999年の正月早々、前妻を連れて青山のホンダショールームに展示されているS2000プロトタイプを見に行った。ところが、前妻は「カッコワルイ。このクルマはイヤ」と冷たくおっしゃった。しかし、「エアコンがないクルマはイヤ」ともおっしゃっているので、EliseもGinettaもダメである。さらに「ポルシェの音はドコドコしていて嫌い」とおっしゃるので、Boxterもダメである。ああ、これでは全滅だ。
しかし、そう言われる程に、思いは募る。私は近所のホンダベルノ店に行ってみた。すると、来週までに仮予約金30万円也を支払うと、たぶん3月くらいに始まる本予約時に優先的に作った枠内でくじ引きになるという。S2000は月産台数が少ない。ということは、借り予約金を払わないと、納車は半年以上先、ヘタしたら一年くらい先になってしまうということだ。うう、これは払うしかないだろう。
私は30万円を手元に置いて、ベルノに行くタイミングをはかっていたのだが、なんと仕事が超多忙なことになって、ついつい仮予約期間を過ぎてしまった。前妻も気に入っていないクルマだからしかたないか。こういう運命だったのだとあきらめることにしようと心に決めた。
これで、また振り出しに戻った。また当分は楽しいクルマ選びの日々を送ることしよう。
といいつつ、これには後日談がある。結論から言うと、S2000は私に気があったのだ。ふふふ。と言うわけで、これはF355購入日記をご覧ください。
なんとFerrari!
放蕩ライトウェイトオープンカーを買う。これが私の目標だったハズだった。
しかし、その前に予想もしていないクルマ、それも当初狙っていたライトウェイトなオープンカーではなく、なんとなんとFerrari
F355 Berlinettaを、つい勢いで買うことになってしまったのだ。ALFA GTVを買ってから、わずか3か月半後のことであった。別に私はお金持ちではないが、実は宝くじが当たったみたいなことがあって、こういうことができたのである。
しかし、それも限度というものがある。維持費を考えたら、さすがにこの上Eliseを買うことはできないと判断せざるを得ない。
しかし、Ferrariとはなんということだ。こんなクルマを買うヤツは、よっぽどの道楽者か馬鹿か人間失格野郎に違いない。だが、なんと思われようといい。その通りとしか言えないのである。
こないだまで外車を買うことすら恐ろしいコトだと考えていた私が、まさかFerrariを買おうなどと思うこと自体が凄すぎる。これもALFAを買ってしまい、イタ車の毒に当てられてしまったからかもしれない。なんせ、ALFAは気持ちよすぎる。Ferrariだったら、どれくらい気持ちいいことか...。うう、よだれが出そうだ。
実は、以前にクルマのお勉強をしようと、いろいろな雑誌や書籍を買い漁っていたとき、「このフェラーリください」(清水草一著)というふざけた本を見つけてしまった。もちろん、私にフェラーリなど関係ないとは思っていたが、立ち読みするくらいはタダだからと、開いてしまったところ、これがまた大爆笑な本だったのである。内容については詳しく触れないが、要は世間的には凄いと思われているフェラーリは、クルマとしては実はあまり凄くない、むしろ間抜けであると、非常にオモシロオカシク書いてあるのだ。しかし、クルマではなく芸術として凄いんだという示唆に富んだ内容なのである。もちろん、つい買ってしまったのは言うまでもない。そして、この続編の2冊の本も買ってしまった。こうして、いつのまにかフェラーリを身近なものとして感じるようになってきてしまったのである。
さらに追い打ちをかけるように、インターネットで「F355 UnOfficial Fun
Club」というHP(現在は「Ferrari UnOfficial Fun Club」というページを発見してしまった。このHPの作者であられる355Mさんは、ご自身も一度は夢のFerrari
F355オーナーとなるものの、結婚を機会にF355を売り払ったという経歴の持ち主である。しかし、F355への思いは断ち難く、奥さんの了解を得て、再びF355購入を目指す日記をHPに掲載していらっしゃったのだ。このように、実際のオーナーの声を聞くようになると、Ferrariはそんなに遠い存在ではないように錯覚してくる。そして、身の程もわきまえず、どんどん欲しくなる。それが進んだ結果が、今の私なのであった。
まあ、いろいろ理由はあるけれど、「あまり年寄りにならないうちに、寄り道せずにFerrariを買おう。そうじゃないと、仕事のしすぎで死んじゃって乗れなくなるかもしれないから」というのが、購入を決意した最終的な理由だったような気がする。
しかし、Ferrari様は、そうカンタンに私の元にはきてくれなかった。このあと、実に紆余曲折があったのだ。そのへんのことは、F355購入日記をご覧ください。
やっぱりライトウェイト
いろいろあって、ほぼ何をやっているのか分からない状態になってしまった私だが、今はやはりライトウェイトのオープンカーが欲しい。やはり初志貫徹で、Elise、今なら
Elise 111Sがいいなあ...と懲りないクルマ馬鹿なのであった。
続く(かもしれない)。
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